バックアップファイルのヘルスチェック
バックアップチェーンで最新のリストアポイントに対してヘルスチェックを定期的に実行するように、Veeam Agent for Microsoft Windowsに指示することができます。ヘルスチェックの間、Veeam Agentでは、バックアップファイルのメタデータにCRCチェックを行い、データブロックにハッシュのチェックを行って、整合性を検証します。ヘルスチェックによって、リストアポイントに一貫性を持たせて、このリストアポイントからデータをリストアすることができます。
ヘルスチェックを定期的に実行するには、バックアップジョブ設定で、[Perform backup files health check]オプションを有効にし、ヘルスチェックのスケジュールを定義する必要があります。デフォルトでは、毎月最終金曜日にヘルスチェックが実行されます。スケジュールを変更して、毎週または毎月、任意の日にヘルスチェックを実行できます。
注 |
Veeam Agent for Microsoft Windowsでは、ヘルスチェックがスケジュールされている日の初回ジョブセッション中に、ヘルスチェックを実行します。同じ日に別のジョブセッションが実行された場合、Veeam Agentでは、このジョブセッション中はヘルスチェックを実行しません。たとえば、ジョブが土曜日に数回スケジュールされ、ヘルスチェックが土曜日にスケジュールされている場合、ヘルスチェックが実行されるのは、土曜日の初回のバックアップジョブセッション中のみです。 |
ヘルスチェックに関する制限事項
- 手動で開始するか、スケジュールによって自動的に開始されるアクティブフルバックアップジョブセッション中は、ヘルスチェックは実行されません。
- Microsoft OneDriveに作成されたバックアップファイルのヘルスチェックはサポートされていません。
- バックアップキャッシュにリストアポイントを作成するバックアップジョブセッション中、ヘルスチェックは行われません。
- バックアップキャッシュの同期処理中、ヘルスチェックは行われません。
ヘルスチェックのしくみ
Veeam Agent for Microsoft Windowsで新しいリストアポイントをバックアップ場所に保存するときに、バックアップファイルでバックアップのメタデータのCRC値およびデータブロックのハッシュ値が計算され、これらの値はバックアップファイルのメタデータに、バックアップされたデータとともに保存されます。ヘルスチェックセッション中に、Veeam Agentではこの値を使用して、検証されたリストアポイントに一貫性があるかどうかを確認します。
注 |
バックアップジョブの保存先がVeeam Backup Repositoryまたはクラウドリポジトリであるときに、暗号化されたバックアップファイルのヘルスチェックを実行した場合、Veeam Backup & Replicationは、Veeam Backup Repositoryまたはクラウドリポジトリに暗号化キーを渡します。暗号化の詳細については、「データ暗号化」を参照してください。 |
Veeam Agent for Microsoft Windowsでは以下のようにヘルスチェックを実行します。
- バックアップジョブセッション中、Veeam Agent for Microsoft Windowsは、バックアップチェーンに新しいリストアポイントを作成します。
- バックアップジョブセッションの最後に、Veeam Agent for Microsoft Windowsがヘルスチェックを実行します。バックアップファイルで、バックアップのメタデータのCRC値およびデータブロックのハッシュ値を計算し、既にバックアップファイルに格納されているCRC値およびハッシュ値と比較します。
ヘルスチェック中、Veeam Agent for Microsoft Windowsでは、バックアップチェーンの最新のリストアポイント(現在のバックアップジョブセッションで作成されたリストアポイント。このセッション中にヘルスチェックが実行されます)を検証します。バックアップチェーンの最新のリストアポイントが不完全な場合(たとえば、直近のバックアップジョブセッションがエラーで終了した場合)、Veeam Agentは、最新のリストアポイントの1つ前のリストアポイントを検証します。
ヘルスチェックでデータの破損が検出されなかった場合、バックアップジョブセッションは通常の方法で完了します。
- 破損したデータがヘルスチェックで検出された場合、Veeam Agent for Microsoft Windowsでは、バックアップジョブを[Error]ステータスで完了し、ヘルスチェックの再試行プロセスを開始します。ヘルスチェックの再試行は、個別のバックアップジョブセッションとして開始されます。
明らかになったデータ破損に応じて、Veeam Agentでは以下のアクションを実行します。
- ヘルスチェックによって、フルバックアップファイル内で破損したバックアップメタデータが検出された場合、Veeam Agentでは、このフルリストアポイントを起点とするバックアップチェーンを、Veeam Agent for Microsoft Windowsデータベース内で破損としてマークします。ヘルスチェックの再試行中、Veeam Agentは、バックアップに選択したデータ全体をVeeam Agentコンピューターから転送し、保存場所で新しいフルバックアップファイルを作成して、このバックアップファイルに、転送したデータブロックを保存します。
- ヘルスチェックによって、増分バックアップファイル内で破損したバックアップメタデータが検出された場合、Veeam Agentでは、この増分リストアポイントおよび以降の増分リストアポイントに関する情報を、Veeam Agent for Microsoft Windowsデータベースから削除します。ヘルスチェックの再試行中に、Veeam Agentでは、バックアップチェーン内の比較的最新の有効なリストアポイントの増分データを、Veeam Agentコンピューターから転送し、新しい増分バックアップファイルを保存場所に作成して、このバックアップファイルに転送されたデータブロックを保存します。
- ヘルスチェックによって、フルまたは増分バックアップファイル内で破損したデータブロックが検出された場合、Veeam Agentでは、破損したデータブロックを含むリストアポイントおよび以降の増分リストアポイントを、Veeam Agent for Microsoft Windowsデータベース内で破損としてマークします。ヘルスチェックの再試行中に、Veeam Agentでは、データブロックをVeeam Agentコンピューターから転送します。さらに、Veeam Agentはヘルスチェックを開始したバックアップジョブセッション以降に変更されたデータブロックを転送します。Veeam Agentはこのデータブロックを、現在のバックアップジョブセッション(ヘルスチェックの再試行を開始したセッション)で作成された最新のリストアポイントに保存します。
ヘルスチェックの再試行
ヘルスチェック自体はバックアップジョブセッション中に開始されますが、バックアップジョブセッションが失敗した場合には、ジョブの再試行セッション中に開始されます。試行が成功しなかった場合は、どのような場合でも、Veeam Agent for Microsoft Windowsでは、最後のジョブの再試行中にヘルスチェックを実行します。
破損したデータがヘルスチェックで検出された場合、Veeam Agent for Microsoft Windowsでは、バックアップジョブを[Error]ステータスで完了し、ヘルスチェックの再試行プロセスを開始します。ヘルスチェックの再試行は、個別のバックアップジョブセッションとして開始されます。ヘルスチェックの再試行中、Veeam Agentでは破損したリストアポイントのデータブロックをVeeam Agentコンピューターから保存場所へ転送しようとします。
スケジュールに従って自動的に開始されたバックアップジョブの場合、ヘルスチェックの再試行の回数は、ジョブ設定で指定されたジョブの再試行の回数と同じです。手動で開始したジョブの場合、Veeam Agent for Microsoft Windowsはヘルスチェックの再試行を1回だけ実行します。
注 |
Veeam Agent for Microsoft Windowsがヘルスチェックのすべての再試行で、破損したデータを修正できなかったときは、ジョブを手動で再試行する必要があります。この場合、Veeam Agentは、破損したリストアポイントを修正するために、Veeam Agentコンピューターから必要なデータブロックを転送します。 |
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