バックアップファイルのヘルスチェック
バックアップ・チェーンで最新のリストア・ポイントに対して正常性確認を定期的に実行するように、Veeam Backup & Replicationに指示することができます。正常性確認の間、Veeam Backup & Replicationでは、バックアップ・ファイルのメタデータにCRCチェックを行い、VMデータ・ブロックにハッシュのチェックを行い、整合性を検証します。ヘルスチェックによって、リストアポイントに一貫性を持たせて、このリストアポイントからデータをリストアすることができます。
正常性確認は、次のすべての種類のバックアップチェーンに実行できます。
- 永久増分
- 増分
- 逆増分バックアップチェーン
ヘルスチェックを定期的に実行するには、バックアップジョブ設定で、[Perform backup files health check]オプションを有効にし、ヘルスチェックのスケジュールを定義する必要があります。デフォルトでは、毎月最終金曜日にヘルスチェックが実行されます。スケジュールを変更して、毎週または毎月、任意の日にヘルスチェックを実行できます。
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Veeam Backup & Replicationでは、正常性確認がスケジュールされている日の初回ジョブ・セッション中に、正常性確認を実行します。同じ日に別のジョブ・セッションが実行された場合、Veeam Backup & Replicationでは、このジョブ・セッション中には正常性確認を実行しません。たとえば、ジョブが土曜日に数回スケジュールされ、ヘルスチェックが土曜日にスケジュールされている場合、ヘルスチェックが実行されるのは、土曜日の初回のバックアップジョブセッション中のみです。 |
検証内容
ヘルスチェックでは、常にバックアップチェーンの最新のリストアポイントのみを検証します。永久増分および増分バックアップチェーンの場合、最新のリストアポイントが不完全なときには、正常性確認で最新の1つ前のリストアポイントを検証します。
ヘルスチェックの手順では、バックアップチェーンの最新のバックアップファイルではなく、VMの最新のリストアポイントを検証することに留意してください。最新のリストアポイントは、VMの最新のバックアップファイルが作成された日時のVMの状態に対応します。VMの最新の状態の「構成」に必要なデータブロックは、通常はバックアップチェーンの複数のバックアップファイルにまたがって広がっています。したがって、VMの最新の状態を検証するには、Veeam Backup & Replicationでバックアップチェーン内の複数のバックアップファイルを開き、そのバックアップファイルからデータブロックを読み取る必要があります。このため、ヘルスチェックの手順には時間がかかる場合があります。
ヘルスチェックでは、最新のリストアポイントで利用可能なVMの仮想ディスクのみを検証します。たとえば、3つの仮想ディスクを含むVMをバックアップジョブに追加したとします。VMは日曜日から火曜日にバックアップされました。水曜日に仮想ディスクを1つ削除し、Veeam Backup & ReplicationでVMに正常性確認を実行しました。正常性確認の間、Veeam Backup & Replicationでは、残りの2つの仮想ディスクのみを検証します。
ヘルスチェックでは、最新のリストアポイントで利用可能なVMのみを検証します。たとえば、2つのVMをバックアップジョブに追加し、しばらくの間ジョブを実行したとします。ヘルスチェックで2つのVMを検証しました。バックアップジョブからVMを1つ削除すると、次にスケジュールされているヘルスチェックでは、削除されたVMで未検証の最新のリストアポイントと、残っているVMの最新のリストアポイントを検証します。今後は、ヘルスチェックではジョブ内に残っているVMのリストアポイントのみを検証します。
ヘルスチェックに関する制限事項
- 手動で開始するか、スケジュールによって自動的に開始されるアクティブフルバックアップジョブセッション中は、ヘルスチェックは実行されません。
- 正常性確認はオフロードされたリストアポイントには実行されません。詳細については、「キャパシティ層」を参照してください。
- [マシン単位のバックアップチェーンの場合] しばらくの間実行されていた既存のバックアップジョブに新しいVMを追加した場合、Veeam Backup & Replicationは、追加されたVMの次の増分バックアップジョブセッション中に正常性確認を実行します。
ヘルスチェックのしくみ
Veeam Backup & Replicationで新しいリストア・ポイントをバックアップ・リポジトリに保存するときに、バックアップ・ファイルでバックアップのメタデータのCRC値およびVMディスクのデータ・ブロックのハッシュ値が計算され、これらの値はバックアップ・ファイルのメタデータに、VMデータと共に保存されます。正常性確認セッション中に、Veeam Backup & Replicationではこの値を使用して、検証されたリストアポイントに一貫性があるかどうかを確認します。
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暗号化されたバックアップファイルの正常性確認を実行する場合、Veeam Backup & Replicationでは、暗号化キーが通常のバックアップリポジトリまたはクラウドリポジトリに渡されます。暗号化の詳細については、「データ暗号化」を参照してください。 |
Veeam Backup & Replicationでは、次の異なるタイプのバックアップ・チェーンに対して、正常性確認の異なるメカニズムを使用します。
増分バックアップチェーンの正常性確認は、以下のように実行します。
明らかになったデータ破損に応じて、Veeam Backup & Replicationでは以下のアクションを実行します。
- 正常性確認によって、フル・バックアップ・ファイル内で破損したバックアップ・メタデータが検出された場合、Veeam Backup & Replicationでは、このフル・リストア・ポイントを起点とするバックアップ・チェーンを、構成データベース内で破損としてマークします。正常性確認の再試行中に、Veeam Backup & Replicationでは、VMイメージ全体のデータブロックをソースデータストアから転送し、バックアップリポジトリ内に新しいフルバックアップファイルを作成して、転送したデータブロックをそれに保存します。
- 正常性確認によって、増分バックアップ・ファイル内で破損したバックアップ・メタデータが検出された場合、Veeam Backup & Replicationでは、この増分リストア・ポイントおよび以降の増分リストア・ポイントに関する情報を、構成データベースから削除します。正常性確認の再試行中に、Veeam Backup & Replicationでは、増分データをバックアップチェーン内の相対的に最も新しい有効リストアポイントにソースデータストアから転送し、バックアップリポジトリ内に新しい増分バックアップファイルを作成して、転送したデータブロックをそれに保存します。
- 正常性確認によって、フルまたは増分バックアップ・ファイル内で破損したVMディスク・ブロックが検出された場合、Veeam Backup & Replicationでは、破損したデータ・ブロックを含むリストア・ポイントおよび以降の増分リストア・ポイントを、構成データベース内で破損としてマークします。正常性確認の間に、Veeam Backup & Replicationでは、データブロックをソースデータストア。さらに、Veeam Backup & Replicationは正常性確認を開始したバックアップジョブセッション以降に変更されたデータブロックを転送します。Veeam Backup & Replicationはこのデータブロックを、現在のバックアップジョブセッション(正常性確認の再試行を開始したセッション)で作成された最新のリストアポイントに保存します。
逆増分バックアップチェーンの場合、正常性確認では必ずバックアップチェーンの最新のリストアポイントのみを検証しますが、これは必ずフルバックアップファイルです。
- バックアップジョブセッションの終わりに、Veeam Backup & Replicationはフルバックアップファイルを検証します。Veeam Backup & ReplicationはフルバックアップファイルでバックアップのメタデータのCRC値およびVMディスクデータブロックのハッシュ値を計算し、既にフルバックアップファイルに格納されているCRC値およびハッシュ値と比較します。
- ヘルスチェックでデータの破損が検出されなかった場合、バックアップジョブセッションは通常の方法で完了します。
明らかになったデータ破損に応じて、Veeam Backup & Replicationでは以下のアクションを実行します。
- 正常性確認によってフル・バックアップ・ファイル内で破損したバックアップ・メタデータが検出された場合、Veeam Backup & Replicationでは、バックアップ・チェーン全体(フル・バックアップ・ファイルおよび前の逆増分バックアップ・ファイル)を、構成データベース内で破損としてマークします。正常性確認の再試行中に、Veeam Backup & Replicationでは、VMイメージ全体のデータブロックをソースデータストアから転送し、新しいフルバックアップファイルをバックアップリポジトリ内に作成して、転送したデータブロックをそれに保存します。
- 正常性確認によって、フル・バックアップ・ファイル内で破損したVMディスク・ブロックが検出された場合、Veeam Backup & Replicationでは、フル・バックアップ・ファイルおよび前のリバース増分バックアップ・ファイルを、構成データベース内で破損としてマークします。正常性確認の再試行中に、Veeam Backup & Replicationでは、データブロックをソースデータストアから転送します。さらに、Veeam Backup & Replicationでは、正常性確認を開始したバックアップジョブセッション以降に変更されたデータブロックを転送します。Veeam Backup & Replicationはそのデータブロックを、バックアップリポジトリ内の既存のフルバックアップファイルに保存します。破損してソースデータストアからのデータブロックと置き換えられたデータブロックは、フルバックアップファイルより前の既存の逆増分バックアップファイルに保存されます。
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Veeam Backup & Replicationが正常性確認のすべての再試行で、破損したデータを修正できなかったときは、ジョブを手動で再試行する必要があります。この場合、Veeam Backup & Replicationは必要なデータブロックをソースデータストアから転送して、最新のリストアポイントを修正します。バックアップチェーン内の最新のリストアポイントが不完全な場合、Veeam Backup & Replicationは最新のリストアポイントの1つ前のリストアポイントの修正を試みます。 |