WANアクセラレータのサイジング
WANアクセラレータを介したリモートジョブの作業を適切に行うため、ソースおよびターゲットのWANアクセラレータ上で、サービスデータに十分な空き領域を確保する必要があります。
WANアクセラレータを構成するときは、WANアクセラレーションが高帯域幅モードから低帯域幅モードに切り替わる場合があることに注意してください。たとえば、リモートロケーションへのリンクが変更され、ペアのアクセラレータの1つで高帯域幅モードを無効にすることにしたとします。高帯域幅モードを無効にしてこのWANアクセラレータを利用するジョブを開始すると、Veeam Backup & Replicationは、高帯域幅モードで使用されたダイジェストデータを削除し、低帯域幅モード用に作成し直します。さらに、Veeam Backup & ReplicationはターゲットWANアクセラレータでグローバルキャッシュも使用します。
高帯域幅モードから低帯域幅モードに切り替える際に空き容量が不足することで生じる問題を回避するために、WANアクセラレータを低帯域幅モードで使用する場合と同じように構成することをお勧めします。
ソースWANアクセラレータ
WANアクセラレータを介してリモート・ジョブを実行するときに、Veeam Backup & Replicationは、ターゲットに送信されるデータ・ブロックを分析し、これらのデータ・ブロックのダイジェストを計算します。ダイジェストデータは、ソースWANアクセラレータの、WANアクセラレータの設定時に選択されたディスク上のVeeamWANフォルダ内に保存されます。
ソースWANアクセラレータに、ダイジェストデータを保存するための十分なディスク領域があることを確認します。
低帯域幅モードで動作するソースWANアクセラレータに必要なディスク容量は、次の式で計算されます。
たとえば、プロビジョニングされたサイズが2 TBのVMを10台処理する予定である場合、低帯域幅モードで動作するソースWANアクセラレータのダイジェストデータには40 GBのディスク領域を割り当てる必要があります。
高帯域幅モードで動作するソースWANアクセラレータに必要なディスク容量は、次の式で計算されます。
たとえば、プロビジョニングされたサイズが2 TBのVMを10台処理する予定である場合、高帯域幅モードで動作するソースWANアクセラレータのダイジェストデータには20 GBのディスク領域を割り当てる必要があります。
ターゲットWANアクセラレータ
ターゲットWANアクセラレータで、以下のデータ用の十分な空き領域を確保する必要があります。
注 |
高帯域幅モードでのみ動作するターゲットWANアクセラレータの場合、ダイジェストデータを生成するのに十分な空き領域を提供する必要があります。グローバルキャッシュデータは、高帯域幅モードでは使用されません。 既存のWANアクセラレータで高帯域幅モードが有効になっている場合、Veeam Backup & Replicationでは以前にアクセラレーションに使用されたグローバルキャッシュが自動的に削除されません。WANアクセラレーションに高帯域幅モードを使用し、これ以上グローバルキャッシュが必要ない場合は、キャッシュを手動で削除することでディスク容量を開放できます。今後、低帯域幅モードでWANアクセラレーションを使用する場合は、グローバルキャッシュを保持することをお勧めします。いつでも高帯域幅モードを無効にして低帯域幅モードに戻すことができます。 |
- Microsoft Windows 7を実行する1台のVM
- Microsoft Windows Server 2008 R2を実行する3台のVM
- Microsoft Windows Server 2012 R2を実行する2台のVM
3種類のOSがあるため、ターゲットWANアクセラレータ上のグローバルキャッシュに30 GB割り当てる必要があります。
注 |
グローバルキャッシュは、ターゲットWANアクセラレータにのみ保存されます。ソースWANアクセラレータのグローバルキャッシュに領域を確保する必要はありません。 |
- ソースWANアクセラレータで、キャッシュのクリア操作を実行し、ダイジェストデータが含まれなくなった場合。詳細については、「グローバルキャッシュのクリア」を参照してください。
- Veeam Backup & Replicationがバックアップデータの転送操作を再開しようとしたが、バックアップファイルがこの操作に対して適切な方法で準備されていなかった場合。ダイジェストデータを再計算する必要があります。
このような状況では、ターゲットWANアクセラレータが単独でダイジェストデータを計算しなければならず、追加の領域が必要になります。ダイジェストデータが計算された後、ターゲットWANアクセラレータはそれをソースWANアクセラレータに転送します。転送後、ダイジェストデータのコピーがターゲットWANアクセラレータから削除されます。
安全上の理由から、ターゲットWANアクセラレータのダイジェストデータには、以下の容量を確保することが推奨されます。
低帯域幅モードで動作するターゲットWANアクセラレータでダイジェストデータのために必要なディスク容量は、次の式で計算されます。
高帯域幅モードで動作するターゲットWANアクセラレータでダイジェストデータのために必要なディスク容量は、次の式で計算されます。
ダイジェストデータを再計算するために、この容量が必要です。この容量を確保せずに、Veeam Backup & Replicationでダイジェストデータの再計算が必要になる状況が発生した場合、リモートロケーションへのジョブは、制限されたモードで機能するようになります。Veeam Backup & Replicationは、ターゲットにコピーされたそれまでのリストアポイントに対して、データの重複排除を行いません。詳細については、「グローバルデータ重複排除」を参照してください。
重要 |
ターゲットWANアクセラレータのグローバルキャッシュサイズを指定する際に、ダイジェストデータを保存するための領域は割り当てません。Veeam Backup & Replicationがダイジェスト・データの再計算を行えるようにするために、(グローバル・キャッシュに割り当てられている領域に加えて)ターゲットWANアクセラレータで必要な空き容量があることを確認してください。 |
例:
- 低帯域幅モードで動作しているターゲットWANアクセラレータのグローバルキャッシュに100 GBを割り当てています。
- 処理されるVMのプロビジョニングされたサイズは、2 TBです。
この場合、ターゲットWANアクセラレータのグローバルキャッシュに必要なディスクの空き領域は、以下の通りです。
多対一のWANアクセラレーションシナリオ
グローバルキャッシュサイズは、ターゲットWANアクセラレータと稼働する1つのソースWANアクセラレータごとに計算されます。1つのターゲットWANアクセラレータに複数のソースWANアクセラレータを使用する予定の場合、グローバルキャッシュのサイズも比例して増やす必要があります。すべてのソースWANアクセラレータのキャッシュデータは、ターゲットWANアクセラレータのグローバルキャッシュフォルダ内にある、専用のサブフォルダに保存されます。グローバルキャッシュサイズは、次の式によって計算されます。
グローバルキャッシュサイズ合計 = (ソースWANアクセラレータの数) * (ターゲットWANアクセラレータのプロパティで設定したグローバルキャッシュのサイズ) 提供する合計空きディスク容量 = グローバルキャッシュサイズ合計 + ダイジェストサイズ |
例:
- ソース側に、災害復旧(DR)サイトの1つのターゲットWANアクセラレータと稼働する、4つのソースWANアクセラレータがあります。
- ターゲットWANアクセラレータのプロパティで設定されているグローバルキャッシュサイズは、100 GBです。
- 処理されるVMのサイズは、2 TBです。
この場合、ターゲットWANアクセラレータのグローバルキャッシュとダイジェストに必要なディスクの空き領域は、以下の通りです。
注 |
WANアクセラレータキャッシュのサイジングに関する詳細および推奨事項については、Veeam KB1877の記事を参照してください。 |