データ圧縮と重複排除
Veeam Backup & Replicationは、データ圧縮とデータ重複排除のメカニズムを備えています。データ圧縮とデータ重複排除によって、ネットワーク経由で転送されるトラフィックと、バックアップファイルとVMレプリカファイルを保存するために必要なディスク領域を低減できます。
データ圧縮
データ圧縮では、作成されるファイルのサイズが低減されますが、バックアップまたはレプリケーションの生成にかかる時間が長くなります。Veeam Backup & Replicationでは、次の圧縮レベルのいずれかを選択できます。
- Noneは、ハードウェアベースの圧縮と重複排除をサポートしているストレージデバイスにバックアップファイルとVMレプリカファイルを保存する場合に推奨される圧縮レベルです。
- [Dedupe-friendly]は、CPU使用率が非常に低い場合に最適な圧縮レベルです。バックアッププロキシの負荷を軽減する必要がある場合に、この圧縮レベルを選択します。
- [Optimal]は、推奨される圧縮レベルです。バックアップファイルのサイズとバックアップ手順にかかる時間のバランスが最適になります。
- High圧縮レベルではOptimalレベルよりも圧縮率が10%高くなりますが、CPU使用率も約10倍高くなります。
- Extreme圧縮では、ファイルのサイズが最小になりますが、パフォーマンスが低下します。Extreme圧縮レベルを使用する場合は、最新のマルチコアCPU(6コアを推奨)を搭載したコンピューターでバックアッププロキシを実行することを推奨します。
- 【バックアップコピーのジョブの場合】バックアップコピーのジョブの推奨圧縮レベルは自動です。コピーされたバックアップファイルの圧縮設定を使用するには、このレベルを選択します。
注 |
Veeam Backup & Replicationは、ジョブの暗号化が有効になっており、ターゲットバックアップリポジトリの設定で[Decompress backup data blocks before storing]チェックボックスが選択されている場合、VMデータを圧縮しません。そのため、ジョブ統計で、転送されたデータの量(Transferredカウンター)が、暗号化が無効のジョブに比べて多くなります。ジョブ統計の詳細については、「リアルタイム統計の表示」を参照してください。 |
データ圧縮設定の変更
データ圧縮設定の変更 を既存のジョブに対して行うことができます。設定を変更した後、新しい設定を使用するために、新しいフルバックアップを作成する必要はありません。設定を保存すると、Veeam Backup & Replicationによって、新たに作成されたバックアップファイルに新しい圧縮レベルが自動的に適用されます。以前に作成したバックアップファイルは影響は受けません。
ただし、逆増分バックアップ手法を使用する場合、新たに作成されたバックアップファイルに、さまざまなレベルで圧縮されたデータブロックが混在します。たとえば、バックアップジョブに逆増分バックアップ手法を使用しており、圧縮レベルがOptimalレベルであるとします。いくつかのジョブセッションの後、圧縮レベルをHighに変更したとします。逆増分のバックアップチェーンでは、新しいデータブロックを含めるように、すべてのジョブセッションでフルバックアップファイルが再作成されます。その結果、フルバックアップファイルに、Optimalレベルで圧縮されたデータブロックとHighレベルで圧縮されたデータブロックが混在します。同じ動作が合成フルバックアップにも適用されます。圧縮レベルの変更後に作成された合成フルバックアップには、さまざまなレベルで圧縮されたデータブロックが混在します。
新たに作成されるバックアップファイルに1つのレベルで圧縮されたデータブロックを含める必要がある場合は、アクティブフルバックアップを作成できます。Veeam Backup & Replicationによって、本番インフラストラクチャからVMイメージ全体のデータが取得されて新しい圧縮レベルで圧縮されます。バックアップチェーン内の以降のすべてのバックアップファイルでも、この新しい圧縮レベルが使用されます。
Veeam Backup & Replicationでは、Veeamデータムーバーを使用してVMデータが重複排除されます。
- ソース側のVeeamデータムーバーは、VMディスクレベルでVMデータを重複排除します。ソース側のVeeamデータムーバーは、VMディスクの処理を開始する前に、ターゲット側のVeeamデータムーバーからバックアップチェーン内の前回のリストアポイントのダイジェストを取得します。ソース側のVeeamデータムーバーは、この情報をハイパーバイザーから取得したCBT情報と統合し、これらの情報に基づいてVMディスクデータをフィルタリングします。前回のリストアポイントにこのVMの一部のデータブロックが存在する場合は、ソース側のVeeamデータムーバーはこのデータブロックをターゲットに転送しません。これに加えて、シンディスクの場合、ソース側のVeeamデータムーバーは未割り当ての領域をスキップします。
- ターゲット側のVeeamデータムーバーは、VMデータをバックアップファイルレベルで重複排除します。このVeeamデータムーバーは、ジョブに含まれているすべてのVMのすべてのVMディスクのデータを処理します。ターゲット側のVeeamデータムーバーは、ダイジェストを使用して転送データ内の同一のデータブロックを検出し、一意のデータブロックのみをバックアップファイルに保存します。
データ重複排除設定の変更 を既存のジョブに対して行うことができます。設定を変更した後、重複排除を有効または無効にするために、新しいフルバックアップを作成する必要はありません。設定を保存すると、Veeam Backup & Replicationによって、新たに作成されたバックアップファイルに変更が自動的に適用されます。以前に作成したバックアップファイルは影響は受けません。
- VMイメージを読み取る場合、Veeam Backup & Replicationは、VMイメージを選択したサイズのブロックに分割します。存在するデータブロックが増えるほど、VMイメージの処理にかかる時間も長くなります。
- [レプリケーションおよびvCDレプリケーションの場合]Veeam Backup & Replicationは、すべてのデータブロックに関する情報を、バックアップリポジトリに保存されたVMレプリカメタデータに書き込みます。存在するデータブロックが増えるほど、多くのメタデータがバックアップリポジトリに書き込まれます。
- [変更ブロック追跡が有効な場合]増分ジョブの実行中、Veeam Backup & ReplicationはCBTを使用して、変更されたVM中のデータブロックを定義します。見つかった変更済みデータブロックのサイズが大きいほど、ターゲットサイトに転送するデータ量も大きくなります。
ストレージ最適化オプション | ブロックサイズ | 説明 |
---|---|---|
ローカルターゲット(大きなブロック) | 4096 KB | 16 TBを超えるファイルに推奨されます。 このオプションでは、重複排除率が最も低くなり、増分ファイルのサイズが最も大きくなることに注意してください。 |
ローカルターゲット | 1024 KB | SAN、DAS、またはローカルストレージへのバックアップおよびレプリケーションに推奨されます。 このオプションでは、ジョブのパフォーマンスが最も高くなりますが、データブロックのサイズが大きく、同一のブロックが検出される可能性が小さくなるため、重複排除率が低くなります。 |
LANターゲット | 512 KB | NASへのバックアップとレプリケーション、およびオンサイトのバックアップとレプリケーションに推奨されます。 このオプションでは、重複排除率が上がり、データブロックサイズが小さくなるためファイルのサイズも小さくなります。 |
WANターゲット | 256 KB | オフサイトのバックアップおよびレプリケーションにWANを使用する場合に推奨されます。 このオプションを選択すると、重複排除率が最大になり、ファイルのサイズも最小になるため、WAN経由のトラフィック量を軽減できます。 |
ストレージ最適化設定の変更 を既存のジョブに対して行うことができます。新しい設定は、チェーン内で以前に作成されたファイルには適用されません。新しい設定は、設定の変更後に作成された新しいファイルに適用されます。
Veeam Backup & Replicationによって新しい設定が適用されるようにするには、次の手順を使用します。
バックアップジョブ
バックアップジョブに新しいストレージ最適化設定を適用するには、ストレージ最適化設定を変更した後で、アクティブフルバックアップを作成する必要があります。Veeam Backup & Replicationによって、バックアップチェーン内のアクティブフルバックアップと以降のバックアップファイルに新しいブロックサイズが使用されます。