WANアクセラレーションのしくみ
リモートロケーションへのジョブの作成時に、プロパティで、WANアクセラレーションの使用を選択できます。
WANアクセラレーションが有効な場合のデータコピーの手順は、次のように実行されます。
- [バックアップコピージョブの場合] Veeam Backup & Replicationは、バックアップファイルを解凍してコンテンツを分析します。
- ソースWANアクセラレータ上のVeeam WAN Accelerator Serviceが、転送されるファイルのデータブロックを分析し、これらのデータブロックのダイジェストが含まれるファイルを作成します。ダイジェストが含まれる作成されたファイルは、ソースWANアクセラレータのVeeamWANフォルダに格納されます。
- Veeam Backup & Replicationはバックアップファイルのデータ(バックアップコピー用)またはVMデータ(レプリケーション用)を圧縮し、ターゲット側にコピーします。
この時点で、Veeam Backup & Replicationは、VM自体の中で重複排除を実行できます。つまり、すべてのVMディスクで同一であるデータ・ブロックを重複排除します。
- データ転送プロセス中に、ターゲットWANアクセラレータ上のVeeam WAN Accelerator Serviceは、コピーされたファイルのデータブロックをグローバルキャッシュストレージに移入します。
- 次のジョブサイクル中に、ソースWANアクセラレータ上のVeeam WAN Accelerator Serviceは、今回転送される必要のあるファイルのデータブロックを分析し、これらのデータブロックのダイジェストを作成します。
- Veeam WAN Accelerator Serviceは、作成されたダイジェストと、その前にソースWANアクセラレータのVeeamWANフォルダに格納されたダイジェストを比較します。重複するデータブロックが見つかった場合、バックアップファイル内の実際のデータブロックは、WANを介してコピーされません。代わりに、データブロックは、グローバルキャッシュから取得され、バックアップコピーフォルダ内のリストアポイントまたはターゲットデータボリュームに書き込まれます。
- さらに、Veeam Backup & Replicationは、それまでにターゲット側にコピーされたリストア・ポイントを分析します。重複が見つかった場合、Veeam Backup & ReplicationはそのようなブロックをWANを介してコピーせずに、前にコピーされたリストアポイントからそれらのブロックを取得します。
その結果、Veeam Backup & Replicationは新しいデータブロックのみをターゲット側にコピーし、グローバルキャッシュ内、またはターゲットバックアップリポジトリのリストアポイントに既に格納されているデータブロックを使用します。
ターゲットWANアクセラレータが複数のジョブによって使用されている場合、ターゲットバックアップリポジトリには、必要なVMの種類のデータブロックが既に含まれている可能性があります。こうような状況の場合、Veeam Backup & Replicationは、コピー・プロセスが開始される前に、必要なデータ・ブロックをグローバル・キャッシュにコピーして、その後これらのデータ・ブロックを使用します。詳細については、「多対一のWANアクセラレーション」を参照してください。
WANアクセラレーションが高帯域幅モードで実行される場合、WANアクセラレーションを使用したデータ転送の手順には次のような特性があります。
- グローバルキャッシュは使用されません。したがって、ターゲットWANアクセラレータは、グローバルキャッシュフォルダを格納するための余分なディスク容量を必要としません。
- 重複排除は、ターゲットリポジトリで処理されたVMの以前のリストアポイントを使用することによってのみ実行されます。したがって、Veeam Backup & Replicationは重複排除操作の実行が減り、データ処理に費やされるリソースと時間を節約できます。
- 重複排除中に変更ブロック追跡メカニズムによって使用されるデータチャンクのサイズは、低帯域幅モードよりも小さくなります。そのため転送する冗長データのサイズが縮小されます。