永続的なVSSスナップショット
アプリケーションを認識した処理中、Veeam Backup & Replicationでは対応するアプリケーション用のVSSライターを使用してアプリケーション・データをフリーズさせ、整合した状態にします。
Microsoftの制限に従って、アプリケーションを60秒(Microsoft Exchangeの場合は20秒)より長くフリーズさせることはできません。Microsoft VSSライターでアプリケーション・データをこの時間より長くフリーズさせるとVSSの処理でタイムアウトが発生し、Veeam Backup & Replicationではトランザクション・レベルで整合性のあるVMのバックアップが作成できません。VSS処理のタイムアウトは、Microsoft Exchangeなどのトランザクション量の多いアプリケーションでの共通の問題です。
この制限に対応するため、Veeam Backup & ReplicationではMicrosoft Exchange VMのバックアップのために永続的なVSSスナップショット・テクノロジーを使用します。Microsoft Exchangeを許容時間より長くフリーズさせる必要がある場合、Veeam Backup & Replicationでは永続的なVSSスナップショット・メカニズムへのフェールオーバーが自動的に行われます。
Microsoft Exchange VMのバックアップは、次の方法で実行されます。
- Veeam Backup & Replicationにより、Microsoft VSSフレームワークがバックアップ用にVMでMicrosoft Exchangeの準備をするよう開始されます。
- Microsoft VSS WriterによりMicrosoft Exchangeの静止点作成が行われます。
- Microsoft VSS Writerにより許容時間内にMicrosoft Exchangeを静止させることができない場合、ネイティブVeeam VSS Writerに制御が渡されます。Veeam VSS Writerは必要な時間だけフリーズ処理を維持します。
- Microsoft Exchangeデータが整合した状態になると、Microsoft VSS Providerに制御が渡されます。Microsoft VSSフレームワークにより、システムVMディスク以外のVMディスク用に永続的なVSSスナップショットが作成されます。
- ジョブセッションが通常通りに進行します。
- バックアップ処理が完了すると、Veeam Backup & Replicationにより、Microsoft VSSが保護VM上で永続的なVSSスナップショットを削除するよう処理されます。作成されたVMバックアップ内に整合したアプリケーションデータのある永続的なVSSスナップショットは保持されます。
VM全体の復元中、Veeam Backup & Replicationによりバックアップからデータが復元され、VMディスクがバックアップ内の永続的なVSSスナップショットに戻されます。その結果、Microsoft Exchange VMがデータを消失せずに整合した状態でバックアップからリストアされます。
永続的なVSSスナップショットテクノロジーの制限
Veeam Backup & Replicationで永続的なVSSスナップショット・テクノロジーが使用されるには、VMで次の要件が満たされていなければなりません。
- VMでMicrosoft Exchange 2010、Microsoft Exchange 2013、またはMicrosoft Exchange 2016が動作していること。
- VMでドメインコントローラーのロールが実行されていないこと。
- Microsoft ExchangeのデータベースとログファイルがVMのシステムディスク以外のディスク上にあること。バックアップ中、Veeam Backup & ReplicationはVMのシステム・ディスク用の永続的なVSSスナップショットを処理しません。そのため、システムディスクはトランザクションレベルの整合性ではなく、クラッシュ整合性のある状態でリストアされます。