VM ゲスト OS ファイル
VMゲストOS上の一部のファイルおよびフォルダをバックアップまたはレプリケートしたくない場合、バックアップまたはレプリカから除外することができます。ファイルの除外を行うとバックアップまたはレプリカのサイズが削減されますが、ジョブのパフォーマンスに影響を及ぼすことがあります。
ファイル除外設定の指定はジョブ内の各VMに対してきめ細かく行うことも、VMコンテナ全体に対して行うこともできます。後者の場合、Veeam Backup & Replicationによって、設定したルールがこのコンテナ内のすべてのVMに適用されます。
どのVMゲストOSファイルを処理するか、あるいは処理しないかを定義するために、次のオプションを使用することができます。
- ファイル除外の無効化。
Veeam Backup & Replicationは、VMゲストファイルシステムの内容全体をバックアップまたはレプリケートします。
- 特定のファイルおよびフォルダのみをバックアップまたはレプリカから除外。
Veeam Backup & Replicationは、指定したファイルとフォルダ以外のすべてのファイルとフォルダをバックアップまたはレプリケートします。
- 特定のファイルおよびフォルダのみをバックアップまたはレプリカに包含。
Veeam Backup & Replicationは、指定したファイルとフォルダのみをバックアップまたはレプリケートします。
ファイルの除外および包含の定義
除外または包含のリストを定義するために、次の方法を使用することができます。
- VMゲストOS、たとえばC:\Documents\のフォルダへのフルパスを指定。
- VMゲストOS、たとえばC:\Documents\MyReport.docxのファイルへのフル・パスを指定。
パスがフル・パスでない場合、Veeam Backup & Replicationはコンピュータ・ボリュームのルート・ディレクトリまで相対的に拡張し、このようなファイルをすべてのコンピュータ・ボリュームで検出するよう試みます。たとえば、VMにC、D、およびEディスクがあるとします。除外のリストでDocument.docxを指定すると、Veeam Backup & Replicationによりファイルシステム全体がスキャンされ、次のファイルがある場合は除外されます:C:\Document.docx、D:\Document.docx、E:\Document.docx。C:\MyDocuments\Document.docxファイルがある場合、このファイルは場所がルートディレクトリでないため、除外されません。
- 環境変数、たとえば、%TEMP%、%windir%の使用。
環境変数は、VMゲストOSに接続し、非永続的実行時コンポーネントまたは永続的エージェントコンポーネントを開始するユーザーアカウント用に定義する必要があります。たとえば、AdministratorアカウントでVMゲストOSに接続するとします。除外または包含リストで%windir%変数を使用するには、%windir%変数をVMゲストOSでAdministratorのユーザー変数のリストに追加しておく必要があります。
- ファイルマスクの使用。マスク用に次の文字を使用することができます。
- (*) — ファイル名またはパス内の1文字以上の置換。任意の文字列(文字なしも含む)に使用できます。例: *.pdf。
- (?) — ファイル名またはパス内の1文字の置換。例:repor?.pdf。
- (;) — マスク分離文字。例:report.*;reports.*。
以下の表で、maskは任意の文字列を表します。
マスクの形式 | 影響するパス/ファイル |
---|---|
*mask* | 指定の文字列を含むすべてのパス。 |
mask* | アスタリスク(*)をマスクの最初に指定しない場合、マスクはVMゲストOSのすべてのボリュームに適用され、Veeam Backup & Replicationではそのボリュームのルートフォルダ内のファイルとフォルダが包含/除外されます:A:\mask*, B:\mask*, …, Z:\mask*。 |
<drive_letter>:\*mask* | 指定の文字列を含む指定のボリューム上のすべてのパス。 |
*mask1*;*mask2*;*mask3* | 指定の文字列の少なくとも1つを含むすべてのパス。*mask1*または*mask2*または*mask3*。 |
|
2つのワイルドカード文字が含まれるマスクを使用する場合は注意が必要です。このようなマスクを指定した場合、Veeam Backup & Replicationでは指定のマスクを含むすべてのファイルとパスが除外されます。たとえば、*.doc*というマスクを指定した場合、Veeam Backup & ReplicationではMyReport.docx、Report.doc.txtなどのファイルが除外されます。 |
- ファイルの除外はMicrosoft Windows NTFSに対してのみ機能します。
- ファイルの除外の機能は、Veeam Universal Licenseに含まれています。従来のソケットベースライセンスを使用する場合は、Enterprise以上のエディションが必要です。
- VMゲストOSファイルを除外するには、Veeam Backup & ReplicationでVM内に、非永続的実行時コンポーネントを導入するか、永続的エージェントコンポーネントを使用(必要な場合は導入)できなければなりません。このため、VMは実行中で、かつIPアドレスまたはVM上のインストーラサービスを介してアクセス可能でなければならず、アプリケーション認識処理のためのログイン情報が有効である必要があります。
- Veeam Backup & Replicationは基本ディスクと動的ディスクの両方に対応します。動的ディスクが対応しているのは基本的なボリュームであり、スパン、ミラー、ストライプボリュームには対応していません。
- Microsoft Windowsでデータ重複排除対応ボリュームに対し、VMゲストファイルの除外を使用することはお勧めしません。このようなボリュームに対してVMゲストファイルの除外を使用することを決め、包含リストを設定する場合、System Volume Informationフォルダを包含リストに追加する必要があります。
- ファイル除外のためのファイルマスクを使用する場合、Veeam Backup & ReplicationでVMゲストファイルシステムをスキャンする必要があるため、VMディスクの処理時間が延びます。
- 除外または包含リストのエントリ数は数百を超えないようにする必要があります。リスト内のエントリ数はジョブのパフォーマンスに影響します。バックアップまたはレプリカの包含または除外対象のファイル数が多いほど、Veeam Backup & Replicationでこれらのファイルの処理にかかる時間が長くなります。
- 必要以上にシステム・ファイルを除外しないことをお勧めします。Veeam Backup & ReplicationはVMイメージの完全性を検証するためのチェックは行いません。
- 小さなファイル(サイズが2 KB未満)の除外は効果的ではなく、バックアップまたはレプリカのサイズを大幅に削減することにはなりません。
VMゲストファイルの除外および包含機能はボリュームレベルで作用します。次の状況を考慮してください。
VMのすべてのボリュームからArchiveフォルダを除外するには、Archiveフォルダへの相対パスを追加する必要があります。除外リストは..\Archive\となります。
バックアップにD:\Documentsフォルダのみを包含するには、包含リストにD:\Documentsフォルダを追加し、不要なディスク(C:\およびE:\ボリュームを含む)をウィザードの[Virtual Machines]のステップで除外する必要があります。詳細については、「バックアップジョブからのオブジェクトの除外 をターゲットにしたボリュームレベルバックアップジョブを構成した場合のみです。
VMゲストOSファイルの除外の処理内容
バックアップまたはレプリカからVMゲストOSファイルを除外する場合、Veeam Backup & Replicationは次の処理を実行します。
- Veeam Backup & Replicationジョブ設定をチェックし、除外する必要のあるVMゲストOSファイルを特定します。
- Veeam Backup & Replicationはバックアップ・プロキシ上でメモリ・キャッシュ内のVMゲスト・ファイルシステムからMFTファイルを開き、除外対象ファイルのデータ・ブロックを削除済みとしてマークします。
- Veeam Backup & ReplicationがターゲットにVMデータをコピーします。このとき、バックアップ・プロキシ上のメモリ・キャッシュとVMスナップショットの両方からデータを読み取ります。ターゲット上で、Veeam Backup & Replicationは除外VMゲストOSファイルを含まないVMディスクの「マージ」バージョンを作成します。データ圧縮により、削除済みとしてマークされたデータブロックは圧縮されるため、作成されるバックアップまたはレプリカファイルのサイズは削減されます。
ファイル除外によるジョブ・セッション中に、Veeam Backup & Replicationはバックアップ・プロキシ上のキャッシュを使用して、処理済みのVMディスクにNTFSレベルで変更を加えます。ただし、これらの変更はCBTメカニズムからは認識されません。このため、Veeam Backup & Replicationは除外されたデータ・ブロックに関する情報をバックアップ・ファイルおよびレプリカ・メタデータに保存します。次のCBTを使用するジョブ・セッション中に、Veeam Backup & Replicationは前のジョブ・セッション中に除外されたデータ・ブロックのリストをバックアップ・ファイルまたはレプリカ・メタデータから検索し、現在のジョブ・セッション中に処理する必要のあるデータを分析します。そのために、Veeam Backup & Replicationでは次のデータに留意します。
- CBTでの新規とマークされたデータブロック
- 前のジョブセッション中に除外されたデータブロック
- 現在のジョブセッション中に除外する必要のあるデータブロック