バックアップファイルの配置
Veeam Backup & Replicationでは、バックアップファイルはスケールアウトバックアップリポジトリのすべてのパフォーマンスエクステントに格納されます。
スケールアウトバックアップリポジトリを構成するときに、そのリポジトリのバックアップファイル配置ポリシーを設定する必要があります。バックアップファイル配置ポリシーには、バックアップファイルをエクステント間に分散する方法が記述されています。2つのポリシーのいずれかを選択できます。
バックアップファイルを配置するエクステントを選択することもできます。これは、スケールアウトバックアップリポジトリのパフォーマンスポリシーを設定した場合は、次のようにわずかな違いがあります。
ジョブセッションの開始時には、Veeam Backup & Replicationはバックアップファイルに必要となる容量を推定し、エクステントの空き容量を確認するということを覚えておいてください。詳細については、「バックアップサイズの推定」を参照してください。
バックアップファイル配置ポリシーは厳密ではありません。必要なエクステントにアクセスできない場合、Veeam Backup & Replicationはポリシーの制限を無視して、バックアップ・ファイルを十分な空き領域のあるエクステントに配置するように試みます。
たとえば、スケールアウトバックアップリポジトリにパフォーマンスポリシーを設定して、フルバックアップファイルをエクステント1に格納する必要があり、増分バックアップファイルをエクステント2に格納する必要があることを指定したとします。増分バックアップジョブセッションの前にエクステント2がオンラインになった場合、新しい増分バックアップファイルはエクステント1に配置されます。
|
Veeam Backup & Replicationは、Microsoft SQLトランザクションログとOracleアーカイブログのバックアップを、増分バックアップファイルを格納するように構成されたエクステントに配置します。このエクステントにアクセスできない場合、Veeam Backup & Replicationは十分な空き領域のある他のエクステントにログのバックアップを配置しようとします。 |
スケールアウトバックアップリポジトリにデータローカリティポリシーを設定すると、同じバックアップチェーンに属するすべてのバックアップファイルがスケールアウトバックアップリポジトリの同じエクステントに格納されます。
データローカリティポリシーでは、バックアップチェーンを制限できません。新しいバックアップチェーンを同じエクステントに格納することも別のエクステントに格納することもできます。たとえば、アクティブ・フル・バックアップを作成する場合、Veeam Backup & Replicationでは、フル・バックアップ・ファイルが別のエクステントに格納されて、従属するすべての増分バックアップ・ファイルがこのフル・バックアップ・ファイルとともに格納されます。
ただし、重複排除ストレージアプライアンスをスケールアウトバックアップリポジトリのエクステントとして使用している場合、Veeam Backup & Replicationは、前のバックアップチェーンでフルバックアップが格納されているエクステントに新しいフルバックアップ(アクティブまたは合成)を配置するように試みます。このような動作は、データの重複排除率を向上するのに役立ちます。
スケールアウトバックアップリポジトリにパフォーマンスポリシーを設定すると、同じバックアップチェーンに属するフルバックアップファイルと増分バックアップファイルはスケールアウトバックアップリポジトリの異なるエクステントに格納されます。必要に応じて、フルバックアップファイルと増分バックアップファイルを格納するエクステントを明示的に指定できます。
ローデータデバイスをエクステントとして使用する場合は、パフォーマンスポリシーにより、変換プロセスのパフォーマンスを向上させることができます。Veeam Backup & Replicationでは、変換を実行するときに、バックアップリポジトリ内の多数のバックアップファイルにアクセスする必要があります。これらのファイルが別々のストレージデバイスに配置されていると、バックアップファイルをホストしているデバイスのI/O負荷が軽減されます。
パフォーマンスポリシーを設定する場合は、エクステント間のネットワーク接続が高速で信頼性が高いことを確認する必要があります。また、バックアップジョブ、バックアップコピージョブ、またはリストアタスクの開始時に、すべてのエクステントがオンラインになっていることを確認する必要があります。現在のバックアップ・チェーンでバックアップ・ファイルをホストしているエクステントが利用できない場合、バックアップ・チェーンが壊れて、Veeam Backup & Replicationではタスクを完了できなくなります。この状況でデータの消失を回避するために、スケールアウトバックアップリポジトリの[Perform full backup when required extent is offline]オプションを有効にできます。このオプションを有効にすると、一部のファイルがバックアップ・チェーンで欠けている場合は、Veeam Backup & Replicationによって増分バックアップの代わりにフル・バックアップが作成されます。
バックアップ・ファイルの配置にエクステントを選択するために、Veeam Backup & Replicationでは次の条件がチェックされます。
- バックアップファイルが格納されているエクステントが利用可能かどうか。現在のバックアップ・チェーンでバックアップ・ファイルが配置されている一部のエクステントにアクセスできない場合、Veeam Backup & Replicationによって増分バックアップの代わりにフル・バックアップがトリガーされます(このオプションが有効になっている場合)。詳細については、「バックアップリポジトリのエクステントの追加」を参照してください。
- スケールアウトバックアップリポジトリに設定されているバックアップ配置ポリシー。
- 負荷制御設定 - エクステントが同時に処理できるタスクの最大数。
- エクステントで利用できる空き容量 - 空き容量が最も大きいエクステントにバックアップファイルが配置されます。
- 現在のバックアップチェーンでファイルが利用可能かどうか - 現在のバックアップチェーン(または現在のVM)で増分バックアップファイルをホストしているエクステントは、このようなファイルをホストしていないエクステントよりも優先度が高くなります。
パフォーマンスポリシーでのバックアップリポジトリのエクステントの選択
スケールアウトバックアップリポジトリにパフォーマンスポリシーを設定すると、Veeam Backup & Replicationは、同じバックアップチェーンに属するフルバックアップファイルと増分バックアップファイルを常に異なるエクステントに格納します。バックアップ・ファイルを格納できるエクステントを選択するために、Veeam Backup & Replicationによってこのポリシーと前述のポリシーが適用されます。
たとえば、スケールアウトバックアップリポジトリに空き領域が100 GBと200 GBの2つのエクステントがあるとします。スケールアウトバックアップリポジトリにパフォーマンスポリシーを設定して、すべてのタイプのバックアップファイル(フルと増分)を両方のエクステントに配置できるように定義します。
バックアップ・ジョブの実行時に、Veeam Backup & Replicationは次の方法でターゲット・エクステントを選択します。
- 最初のジョブ・セッション中に、Veeam Backup & Replicationはどちらのエクステントにフル・バックアップ・ファイルを格納できるかをチェックします。両方のエクステントがフル・バックアップ・ファイルをホストできるため、Veeam Backup & Replicationはどちらのエクステントが空き容量が多いかをチェックして、空き容量が200 GBのエクステントを選択します。
- 増分ジョブ・セッション中に、Veeam Backup & Replicationはどちらのエクステントに増分バックアップ・ファイルを格納できるかをチェックします。両方のエクステントが増分バックアップ・ファイルをホストできるため、Veeam Backup & Replicationはフル・バックアップ・ファイルが格納されていないエクステント、つまり空き容量が100 GBのエクステントを選択します。
ジョブ・セッションの開始時に、Veeam Backup & Replicationによって、バックアップ・ファイルで必要となる容量が推定されて、エクステントの空き容量がチェックされます。Veeam Backup & Replicationでは、バックアップ・ファイルに次の容量が必要であると推定されます。
- フルバックアップファイルのサイズは、ソースVMデータの50%と等しい。
- 増分バックアップファイルのサイズは、ソースVMデータの10%と等しい。
逆増分バックアップ・チェーンの場合、増分ジョブ・セッション中にVeeam Backup & Replicationによって、ロールバック・ファイルが配置されるエクステントにはソースVMデータの10%が割り当てられて、フル・バックアップ・ファイルが格納されるエクステントには追加の10%が割り当てられます。
このメカニズムは、バックアップコピーのジョブで作成されるバックアップファイルにも適用されます。
次の点にご注意ください。
- スケールアウト・バックアップ・リポジトリのすべてのエクステントで、Veeam Backup & Replicationでは、バックアップ・メタデータ・ファイル(VBM)の適切なアップデートとマージ操作の成功を保証するために、ストレージ領域の1%が予約されます。
- フルバックアップファイルが格納されるエクステントに十分な空き領域があることを確認してください。Veeam Backup & Replicationは、バックアップチェーンでマージ操作を実行するために、フルバックアップファイルのサイズの10%を必要とします。ディスク領域が少ない場合、マージ操作が失敗する可能性があります。
- Veeam Backup & Replicationでは、複数のアクティブなタスクでターゲットとなっているエクステントについては、空き容量に関する情報が適時アップデートされません。詳細については、「Veeam KB2282」の記事を参照してください。