保証された転送

CDPでは、2つのバックアップインフラストラクチャコンポーネントの間のデータ転送はTCPプロトコルによって保証されています。しかしながら、CDPの間に生成されたすべてのデータ変更を時間内にVeeam Backup & Replicationで送信できない状況もあり得ます。たとえば、RPOが短く、VMによって多数の変更が生成されるが、インフラストラクチャのパフォーマンスが十分ではない場合や、停電でVMware CDPプロキシが機能しなくなり、それに保存されているすべてのデータ変更が失われた場合などです。これにより、データの整合性が失われ、リストアポイントの消失につながります。

CDPには、データを整合状態に戻す特別なメカニズムとツールがあります。ソースホスト上のI/Oフィルタには、変更されたデータブロックを追跡するメカニズムである変更の追跡(CT)があります。このI/Oフィルタでは、データブロックがVMレプリカに正常に保存されたという確認メッセージをターゲットホストから受信した後にのみ、変更されたブロックのリストからデータブロックアドレスが削除されます。また、VMware CDPプロキシでも、ターゲットホストから確認メッセージを受信するまでデータ変更が保存されます。

Veeam Backup & Replicationでのこれらのツールの使用方法は、問題がソースサイトとターゲットサイトのどちらで発生したかで異なります。

  • ソースサイト:システム負荷が高いためソースホストでデータ変更が送信されない場合、Veeam Backup & Replicationは、負荷が減るまで待機します。その後、変更されたデータブロックのリストを取得し、ディスクからデータブロックを読み取り、そのデータをターゲットホストに送信します。ターゲットホストでは、受信したデータがデータストアに保存されます。この時点まで、ターゲットホスト上のデータは不整合なままとなります。結果として、リストアポイント記録に「ギャップ」が生じているため、VMをある時点までリストアすることはできません。ただし、ターゲットホストでそのデータが保存されると、CDPポリシーによって、整合するリストアポイントの作成が再開されます。

ソースプロキシが機能しなくなった場合は、Veeam Backup & Replicationで別のVMware CDPプロキシが選択され、負荷が減るまでの待機を除き、前述の動作が行われます。

  • ターゲットサイトターゲットプロキシが機能しなくなった場合は、Veeam Backup & Replicationで別のVMware CDPプロキシが選択され、ソースVMware CDPプロキシ内のデータ変更がリクエストされます。そのプロキシによって変更内容がターゲットホストに再度送信され、ターゲットホスト上のデータがほぼ即座に整合性のある状態になります。それにより、VMを任意の時点までリストアできるようになります。

ターゲットVMware CDPプロキシとターゲットホストとの接続が失われた場合は、Veeam Backup & Replicationによってホストの状態が確認されます。ホストがメンテナンスモードであるかクラスターから消失した場合は、Veeam Backup & Replicationで、別のターゲットESXiホストを使用してVMレプリカへのデータ変更の書き込みが開始されます(ただし、そのホストが存在し、VMレプリカが格納されているデータストアに接続されている必要があります)。ホストがメンテナンスモードでなく消失していない場合は、Veeam Backup & Replicationで、これらはネットワークの一時的な問題であると見なされ、しばらくしてから再度データ変更が送信されます。